「トラクション スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」
- 作者: ガブリエル・ワインバーグ,ジャスティン・メアーズ,和田祐一郎
- 出版社/メーカー: オライリージャパン
- 発売日: 2015/05/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いつもの読書感想文です。今回はいつもみたいにじっくり考えながら読む感じの本ではなくて、技術書みたいな感じです。
(なので感想文のボリュームは少なめです・気分なので、ですます調で行きます)
ご存じの通り私はbearfruitsというポートフォリオ自動生成サービスを作っていますが、本を読んだら冒頭から痛いところを突かれノックアウトさせられっぱなしです。
この本では「ブルズアイフレームワーク」によって、紹介されている顧客獲得のための19のチャネルから最適なもの(トラクションチャネル)を選ぶことが必要であると書かれています。19の顧客獲得チャネルとは「バイラルマーケティング」「オフライン広告」「営業」「ソーシャル広告」とかいったものになります。
トラクションチャネルは通常複数存在しないことが多いようで、反復的にブルズアイフレームワークを実行し最適なトラクションチャネルに注力しようという事のようです。
50%ルール
本の内容を全て書いていても仕方ないので特に気になったところを挙げると、「50%ルール」というのが挙げられます。
bearfruitsもそのきらいがありますが、製品だけに力を入れて、ほかに全く注力していないスタートアップが非常に多いようです。
顧客の意見を集めて最適なものをリリースしようと計画しますが、そもそもその顧客が全く集まらない。なのでトラクション獲得が必要であるということです。
私は車が好きなのでよくトラクションという言葉を耳にします。
トラクションがかかっている状態というのは、タイヤがちゃんと地面にエンジンの駆動力を伝えられている状態のことを言います。エンジンがいかに高性能であってもトラクションがかからない車は、タイヤが空転するばかりでスピードも出ず、操作性も悪くなります。
たとえば製品開発をエンジンとするならば、本に書いてある通り、確かにトラクションと製品開発には、均等にリソースを割り当てるべきだと納得しました。
直接関係があるわけではありませんが、スタートアップ初期の顧客獲得については、この本と併せて以下のスライドも大変参考になるので、おすすめです。
www.slideshare.net
2017年3月のアップデート情報
いつもbearfruitsをご利用いただき、ありがとうございます。
2017年3月のアップデート情報です。
新たにポートフォリオにQiitaの記事を追加できるようになりました。
SettingsからQiitaアカウントを設定して頂くと、今までに書いた記事を取り込まれポートフォリオに追加されるようになります。
また、新たに記事を執筆された場合でも、自動的にポートフォリオに追加されるようになります。
ポートフォリオのデザインを微修正しました。
バグ発見のお知らせやご要望などございましたら、 support@bearfruits.net までお気軽にご連絡ください。
今後ともbearfruitsをよろしくお願いいたします。
「小さなチーム、大きな仕事」
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
- 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/11
- メディア: 単行本
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読書感想文。読め!ってよくおすすめされる本。技術書・ビジネス書大賞 2014らしい。
「会議は有害」とか「文章力のある人を雇う」みたいな助言が200個くらい書いてあって、それについて1ページ以内で説明している感じの本。
わかっているけど… ということに、(言葉を選ばずに言うと)ささやかな諦めをして、より本質的なところに目を向けようとする説得の仕方っぽい。結構好きな説得法。
こういった本は「いや、そんなことないだろ!」って突っ込みを入れたくなるようなこともそれなりにあるのだけれど、読み進めて行くにつれてだんだん読む前になんとなくわかってくるので、agreeできないことはさらっと読み飛ばしてしまって問題ないと思う。
いつも通り、特に気になったポイントをいくつか挙げていくことにします。
「失敗から学ぶこと」は過大評価されている
これは個人的にはむむむという感じだったが、読んでみると、なるほどな、とも思った。
「早めにたくさん失敗しておけ!」みたいなアドバイスをされたことがあるだろう(僕もしたことがある)。
要は失敗から学べるからといって、失敗を目指すようになるのはおかしい!ってこと。成功からの方がたくさんのことを学べるはずだし、データを見ても成功した人の方が失敗した人よりも、次にやることが成功する確率が高い、と。
だから不用意に失敗を煽って、「たくさん失敗しなきゃ…」っていう暗い気分にする必要は確かにないよね。
熱意を優先順位と混同するな
わかっていながら、これは手厳しい指摘。
経験上、何かを作り始めて、作ることに少し慣れてきたときに起こりがち。たくさんのアイデアが浮かんできて、そのすべてがサービスの価値を高めて顧客に大きな価値を提供する素晴らしいもののように思え、今取りかかっている作業はそれと比較するとずいぶん色褪せて見える。こんなことが毎日起こる。
もちろん何かを思いつく度にやっている暇もなければ、思いついたことのために今までやってきたことをぶち壊す余裕もないので、この「素晴らしいアイデア」を棚に上げておこう、という話。
こういうのは棚に上げておくと忘れてしまうので、思いついたときにいかに楽に雑にアウトプットできる環境を作っておくかが重要なポイントだと思う。僕は4年くらいGoogle Keepを使っていて、こういうのを忘れないうちに雑にアウトプットするようにしている。
(でもアウトプットが雑すぎて何のことだかわからないこともあって、そういうのは縁がなかったアイデアだと思って忘れることにしている。←)
無名であることを受け入れる
何かを始めたばかりのとき、もしくは始める前には、当然無名な人物である。無名な人物であることに悲観的にならずに、「失敗できる時間」としてあれこれ言われずにミスする時間として使おう。
真似てはいけない
これも経験があって、何かを作るときにその芯になる部分を真似する(参考にする、でも同じ)と、結局それの後追いになってしまう。
例えば何かを身につけたいとき、「〜のトレース1000本ノックだ!」みたいなことを言われる。無意味ではないと思うのだけど、これで得られるのは「スキル」であって、大事なのは「できるから、何をするのか」の部分だと思う。
顧客を(あなたよりも)成長させよう
「あなたの製品を使っている人よりも、使っていない人の方が常に多く存在する」 「何人かを満足させるために上級者向け機能を追加することは、まだ慣れていない人を怖じ気付かせてしまう」
もうこれは、経験上その通りだと言うしかない。本当にその通りで、とくに「唯一の課金ユーザー」みたいな人のいうことは聞きたくなってしまうもの。
何かを提供するということは、要望との長い戦いだと言えるだろう。客は要望のプロフェッショナルではないので、要望が求めていたものと一致しないことは少なくない。要望の裏側にあるものはいったい何なのか、ちゃんと見つけ出せるようになることが大事。できないなら、要望にはノーと言った方がいいかもしれない。
このあたりの話は、トレタさんのお話が説得力があっていいと思う。併せて読みたい↓
さいごに
経験を言葉にしたい人や、右も左もわからないひとには是非おすすめしたい本。 僕は「小さなチーム」が好きで、それしか知らないので、これが「小さなチームだけ」へのアドバイスなのかはわからない。 けど、チームが大きくなると忘れてしまうことがたくさん書いてあるんじゃないかなという感想。
小さなチーム、大きな仕事〔完全版〕: 37シグナルズ成功の法則
- 作者: ジェイソン・フリード,デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン,黒沢 健二,松永 肇一,美谷 広海,祐佳 ヤング
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/01/11
- メディア: 単行本
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