信頼と責任の話。(『あなたのチームは、機能してますか?』)
- 作者: パトリック・レンシオーニ,伊豆原弓
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2003/06/18
- メディア: 単行本
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いわゆる読んでみた系の記事を投稿するのは初めてなので、文章力に難があるかもしれない。
『あなたのチームは、機能してますか?』を読んだ。
この本では、チームを機能不全にする5つの性質とその解決法について説明している。
よくある手法で、架空のベンチャー企業において機能不全に陥ったチームを機能させる、といったストーリーが用いられている。
チームを機能不全にする性質
本の帯にまでデカデカと書いてあるこの5つの性質は、以下の通りである。
- 信頼の欠如
- 意見は一致していないのに議論が起きない
- 衝突への恐怖
- 不満があっても会議で意見を言わない
- 責任感の不足
- 決定したことでもきちんと支持しない
- 説明責任の回避
- 衝突を避けて互いの説明を求めない
- 結果への無責任
- 各自の仕事にかまけて全体を見ない
自己の体験上チームがよく陥りがちであった「信頼」と「責任」に対する誤解について、今回は取り上げたいと思う。
信頼に対する誤解
「会議中のメンバーの発言に違和感を覚えたが、メンバーの能力は信頼しているのでスルーした」
つまるところ、この「信頼」は勘違いで、信頼していたらそもそもちゃんと疑問をぶつけられるハズだよね、ということだ。 的外れな疑問をぶつけてしまうこともあるかもしれないが、メンバーが各々正しいことを知っているのならば、会議なんて必要ないはずだ。
「自分の弱みを安心してみせることができ、意見を戦わせることができる」関係を築いていくのは容易ではないが、チームがチームとして機能するために最初に必要になること、ということだ。
責任に対する誤解
まず第一に、(責任感という概念をそもそも持っていない人は論外として、)責任感がまともにあるはずのメンバーによって責任が果たされないのは、またそれが咎められないのは、「メンバーがチームの決定を支持していないから」だ、という話。 これは単純な話で、違和感を感じても「信頼しているから」としてスルーしてしまったので、自分は関係ないと感じてしまうということ。
加えて、メンバーが負う責任は個人の成功ではなく、チームの成功に対してであるところが大きい、という話。
自己の経験から、責任は「言われたことをちゃんとやってくること」だと勘違いされている場合が多く感じる。場合によってはそれは正しいことかもしれないが、チームにおいてはチームの目的を果たすことがメンバー全員の負うべき責任である。
チームにおいて「言われたことをちゃんとやってくること」は、それ自体が責任なのではなくて、あくまで「チームの成功のために」やることである、という考えだ。
所感
本の冒頭にもあるとおり、この本では説明のために架空の経営者会議の様子を描いたフィクション形式のストーリーが用いられている。
ストーリーは全体的に読みやすくまとまっており、テーマである「チームを機能不全にする性質」を上手に説明している印象であった。
中でも好感が持てたのは、「天を仰ぐ」であるとか、「肩をすくめる」といった仕草や癖などが、過剰にも思われるほどに描写されていた点だ。
これは、テキストベースではない対面で話し合うシーンにおいて、5つの性質だけでない、チームを機能不全に陥れる言動にも注視すべきであることを表している。
とはいえ、内容に対してはいわゆる「言うは易く」といった印象だ。書かれていることは概ね正しいと思うが、改善のための方法は、「言ってることはわかるけど本当にうまくいくんかいな...」といった感じだ。
今回は信頼と責任について取り上げたが、自分の課題は「衝突への恐怖」にある気がしている。
基本的にイヤな衝突はしたくないので、上手に衝突できる関係作り、といった観点でトライしていきたい。