「ザ・ゴール - 企業の究極の目的とは何か」
- 作者: エリヤフ・ゴールドラット,三本木亮
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2001/05/18
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 32人 クリック: 373回
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読書感想文である。
よくおすすめされるので、本の圧倒的分厚さに恐々としながらも読んでみることにした。
この本では、閉鎖の危機に直面したある工場を、業界一と言えるほどの利益を出すまでに復活させるといったストーリーが用いられている。 私事だが、この一年間この本に取り上げられているような工場を対象にしたソフトウェアを開発する仕事をしていたので、機械の名前や工場の様子など、親近感がわいた。
読書感想文なので、今年の仕事を振り返りながら本書の内容と照らし合わせてみる。
本当にやらなければならないこと
まず、(特に)スタートアップにおいては、本当にやらなければならないこと 以外のことをする余裕はないから、物事の優先順位を決め、「時間をかけるべきところ」、「かけるべきでないところ」をしっかりと見極めていく必要がある。
もちろんいつまでも同じところに時間をかけるべきではないので、本当にやらなければならないことは定期的に考え直す必要がある。
ボトルネックの改善
我々のチームではITスタートアップらしくSlackを使ってリモートワーク中のコミュニケーションを行っていた。チャットコミュニケーションに慣れた開発チームではSlack上の会話は弾んでいたが、これは開発チームだけでのことであった。
というのも、当初なぜかSlackのチームは「開発」と「プロダクト・営業」でまるっきり二つに分かれていて(全員で10人にも満たないのに)、その間をつなぐ人間は1人しかいなかったのである。
その結果、プロダクトチームから出された要求が1人を通して開発に伝えられ、開発から上がった質問や提案がまたその一人を通してプロダクトチームに伝えられるといった構造を作り出していた。
この本ではボトルネックとは、「スループットを決定する制約条件」とされていてある機械が取り上げられていたが、我々のチームにおいてはまさにSlack上のコミュニケーションがボトルネックになっていたのであった。
今ではSlackのチームはひとつに統合され、雑談や仕事に関係のない日記に近い日報を書いたり、お互いのチームの会話がお互いに見えるようにしたりといった取り組みをして、お互いがお互いの考えていること、仕事ぶりを理解してかなり円滑に物事を決定できるようになったと感じている。
個々の最適化だけでは意味がない
この本を読んだのは今年の最後なので結果論的ではあるが、上で述べたとおりSlackチームを統合したことが全体の最適化に一役買ったと感じている。
営業と開発は全く別の仕事なので、お互いの仕事にお互いが口を出しにくいし、知見やレポートが共有されにくいが、せっかく10人程度の規模なのだから、積極的に共有していくように働きかけた。
結果、客の要求に対して開発チームから提案ができるようになったり、営業チームではみんなで一つのエクセルシートに書き込んでその管理に難儀していたりしたのを、開発チームが使っているツールを使って円滑にレポートを共有できるようになった。
さいごに
冒頭で述べた仕事はまさに今年から動き始めたスタートアップ企業でのことで、ほぼ創業当時から関わってきた。特定のオフィスをもたず、基本的にみなリモートワークで進めている。 もちろんソフトウェアを作っているので工場の改善をしているのとは訳が違うが、がむしゃらに頑張ってきた今年を振り返るのにいい一冊であった。
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